「WILD ADAPTER 05」-初出・2005年〜2006年-
今巻は、突然ですが久保田と時任の出会い編になります。
最遊記といい、どうも5巻辺りになると出会いを説明したくなる性分のようです(苦笑)。
あまりキャラクターに自己投影をしたくないのですが、5巻と6巻は珍しくゲストキャラに思い入れて描きました。分かり易く「漫画家志望の小学生」。
翔太は、小学三年生にして今で言う「厨二病」です。
厨二病の子供が、実際「厨二的な出来事」に巻き込まれたら、自分だったらどうなったかなぁと。
最初はワクワクしてその楽しい世界に逃避するけれど、どこかでふと自分が立っている現実を思い知って、逆に冷静に物事が見られるようになるんじゃないか──────
そんな心理状態の少年の目線から、浮世離れした久保田と時任を描写してみました。
その代わり、久保田と時任の直接的な心理描写やモノローグはできるだけ削ぎ落としました。
今の子供がどうかは分からないですが、「自由帳」というのは空想好きな子供が唯一好きなだけ羽ばたける、狭い狭い自由の象徴です。
あのめくってもめくっても真っ白な空白画面に、何かを描き出す事を躊躇うようになったら、それが「大人になる」という事なのかなぁ…と、ラストシーンを描きつつ思いました。
だとしたら私はどうやら、まだ大人にはなりきれていないようです(笑)。
ところで新装版のカバーイラストは、旧コミックスの各巻カバーイラストと同じモチーフで描き下ろしています。旧コミックスカバーイラストの「遮る物が必ず入る」という符号を、続刊が出た時に崩したくなかった為です。
新装版は限定版も通常版も、カバーとオビと、カバーを取った状態の表紙&裏表紙、本文の総扉や目次やスタッフリスト、あと限定版のCDケースやCD盤面に至るまで、全部自分一人でデザインデータを組ませて頂きました。
「蜂の巣」のコミックスなどでもフルデザインは経験しましたが、流石に6巻分は大変でした…
どう足掻いても素人なので。でも折角の新装版なので少しでも何か自分の力で出来たらと、とても思い入れ深く作っている本なので、6巻もお付き合い頂けると嬉しいです。