「WILD ADAPTER 01」-初出・2000年~2001年-
初めて興味を抱いて下さった方も、以前から応援して下さっていた方も、ありがとうございます。
2000年から連載を始め、細々と描き続けて来た作品の新装版となります。
ちょっと昔話をします。
『WILD ADAPTER』の世界観、『久保田と時任』というキャラクターは、古くから私の中に存在していました。邦画の雰囲気に魅了されてやまなかった学生時代です。
漫画家デビューはしていたものの、当時ダークな作風は出版社サイドから求められず、最初は私個人の創作同人誌として発表していました。
商業誌上で「ライトBL風の明るい短編漫画」を依頼された際、久保田と時任の二人を用いた学園パラレル漫画『私立荒磯高等学校生徒会執行部』を執筆。それが連載化され、後に『WILD ADAPTER』を商業誌で発表する…という、ちょっと厄介な送り出し方をする事となってしまいました。
久保田と時任は──────漫画の主人公としてはいまいちパッとしない、地味な印象のキャラクターです。「横断歩道ですれ違ってもたいして目を引かない風体」を目安に造形してあります。内容も、モノローグとともに淡々と時間が経過してゆきます。
それでも一部のコアな読者さん達により、長きに渡り支えて頂き、続けて来られました。
色々なところでこう表現しているのですが、峰倉の中で『最遊記』が「陽」ならこの『WILD ADAPTER』は「陰」にあたります。
日陰に咲いた花に何気なく視線を送るように、少しだけ足をとめて頂ければ幸いです。
……とりあえず、この1巻はだいぶ昔の作品ですので、絵も表現も今より確実に拙く恥ずかしい限りですが、当時の私の精一杯(笑)を温かい目で見てやって下さい。