うるっと泣けてほっこりする浅草人情決定版の『浅草洋食亭のしあわせごはん』、
もうお読みいただけましたでしょうか?
これからの季節にぴったりなハートフル・グルメストーリーです。

著/遠藤遼 イラスト/わみず
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就活に失敗したものの、いつか商社に入ることを夢見て派遣社員として懸命に働く美咲。ある日、帰宅途中に同僚の井上から声をかけられ、姉の菜穂子と香織が営む浅草の洋食亭「うさぎのしっぽ」に連れて行くことに。ここは、悩みを抱えた人にしか見えないうさぎの「玉兎さん」がいるちょっと不思議なお店。なんと井上は玉兎が見えると言い、「母が最近私を無視する」と打ち明けるが――? 心をそっと解きほぐす思い出の一皿、ご用意してお待ちしております。
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今回は著者の遠藤遼先生から特別コメントをいただき、読みどころをたっぷり教えていただきました。
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みなさま、こんにちは。遠藤遼です。
このたび、メゾン文庫で『浅草洋食亭のしあわせごはん』を発刊させていただきました。
この作品は、私にとって書いていてとても苦労もしたし、とても楽しかったお話です。
浅草という場所も、洋食亭という響きも、すごく気に入っています。
編集担当様はじめ、みなさまのお力でこの物語を世に送り出させていただき、まことにありがとうございました。
【見どころ①】表紙(!)
わみずさんの温かなイラストを描いていただいたおかげで、ほんとうにほんとうに素晴らしい表紙になりました。
本の魅力というものは当然、読後に自ずから心に残るものでしょうが、読むまえにその作品の魅力を予感させるものは、表紙が大きなウエイトを占めていると思います。
この作品を読んでいただいた方なら、わみずさんの絵の表紙の力を改めて実感していただけると思います。
この表紙がぴったりだなあって。私もそう思いましたから。
そして、「なんで頭の上にうさぎがいるの?」と思った方、いますぐお手にとって読んでみてくださいね(笑)
【見どころ②】ちょっと懐かしい洋食の数々
作品の中では、ビーフシチュー、ポークジンジャー、クリームソーダー、ハンバーグ、オニオングラタンスープなどが出てきますけど、「洋食」っていいですよね。
小さい頃のハレの日の思い出があって、少し背伸びしていて、ちょっと懐かしい……。
おいしい食べ物は食べ物それ自体がおいしいだけではなくて、そこにある想いがおいしさを引き立てていると思います。
子供の頃の思い出、青春の日の名残り、愛する人との優しい日々――。
あるいは逆に、悔しい思い出や悲しみの涙、再起を誓った決意の味かもしれません。
本作では、食べ物の描写は丁寧に、でも、うるさくなりすぎないように心がけました。
読んでいてお腹が空いてきたと感じていただけたら、作者としては狙い通りでちょっとうれしいかも、です。
【見どころ③】想いをつなぐ三姉妹
一皿の料理にいろんな想いが詰まっている――言うまでもなく、これが本作の最大の見どころです。
見どころの二番目とも重なるところもありますが、物語の中で、菜穂子・香織・美咲の三姉妹の祖母・たえ子が「誰にでも懐かしいと思える食事があるのよ」と言っていますが、三姉妹たちはその言葉を引き継いでいます。
三姉妹たちはちょっと不思議な力を持っていますけど、その力は自分のためにある力ではありません。
お客様の笑顔が見たいから「ある」のです。
ランチの一皿に、一杯のスープに、その人の人生を温かくするものを込めたくて、三姉妹は朝早くから仕込みをしています。
つなぎたい想いとは、お客様のしあわせの時間。
それは、遠くになっても、かすかでも、心の中にきらきらと砂金のように残っているかけがえのない思い出。
真心を込めて作った料理に、三姉妹の祈りにも似た力が加わったときに、食べた人の心に訪れるしあわせの奇跡――それが本作で書きたかったことなのです。
そのしあわせの奇跡が、読んでいただいた方の心にも訪れますように。
作者として、そんな祈りを込めて書かせていただきました。
三姉妹のしあわせの魔法がこの本には詰まっています。
少し疲れてしまったときや嫌なことがあって心がひりひりするようなときにも、この物語を読んだら少し元気になっておいしいものを食べたくなってきた……なんて言っていただけたらうれしいです。
読み終わって、もう一度表紙を見れば――ほら、三姉妹があなたのための料理を用意してくれていますよ。
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