日本の山奥に、外の世界とは結界で隔絶された秘境がある。
「博麗大結界」と呼ばれる結界に囲まれて、妖怪や神々など人間以外の存在の方が人間よりも多く暮らしている不思議な世界。いつしかそこは幻想郷と呼ばれるようになった――。
『東方儚月抄』は、そんな幻想郷で繰り広げられるそれなりにシリアスでそれなりに暢気な物語。

博麗大結界は"常識の境界"だ。その効果は、ある空間を境に常識と非常識を分けてしまうという非常に強力なものである。これのおかげで、外の世界の非常識が結界の内側(=幻想郷)の常識になる。だから、外側の世界で非常識として妖怪たちの居場所が減れば減るほど、幻想郷では逆に妖怪が人間よりも幅を利かせている。

レミリアたちの住む洋館で、建物まるごと外の世界から移動してきたらしい。大量のメイドが中には住んでいるが、咲夜以外はほぼ役に立たない。また、地下には幻想郷で最も本が集まっていると評判の大図書館があり、魔理沙もときどき本を借りに(狩りに?)来るようだ。

霊夢が巫女を務める、幻想郷で唯一の神社。幻想郷の東の端、外の世界との境目に建っている。だからなのか、たびたび外の世界の物品が転がり込んできたり、迷い込んできたりする人間が発見されるらしい。霊夢をたずねて来る妖怪が多いためか里の人間が立ち寄らず、神社としては繁盛していない。

輝夜や永琳らが住んでいる屋敷。うっそうと生い茂る竹林(通称「迷いの竹林)の奥深くに建っているため、簡単にはたどり着けない。かなり古い様式の日本家屋だが、ぜんぜん古びた様子がないところが不思議な建物である。

森の入り口に構える道具屋。店の内も外も雑然と物で埋め尽くされているだけでなく、どの商品にも値段の表示は無いことなどから店主の商売っ気の無さがうかがえる。
幻想郷の中で唯一、外の世界の道具、妖怪の道具、冥界の道具など、何でも屋的に取り扱っている。ただし外の世界の道具は店主でも使い道がわからないらしい。

冥界に存在する西行寺家の屋敷。美しい枯山水の中庭と、とてつもない広さの庭園を誇る。庭にはたくさんの桜が植えられているが、中には人を死に誘う危険な妖怪桜も存在するとか。